ロンリーガールズブラボー
穏やかな午後。冬の寒さもなくなり、部屋に差し込む光が私に睡眠を強いてくる、そんな、そんな穏やかな午後のことだった。
私は世界で一人になった。
最初は何かのイタズラかと思った。授業中うっかり寝て、起きたら誰もいなかった。この状況なら普通そう思うだろう。教室移動を教えてくれないとか私の友人はなんと意地が悪いのだろう。殴ってやろうと誓った。
とにかく今はどの授業中なのか確認しないといけない、そう思った私は時計をみてちょっと困惑した。まだ自分が寝た授業が行われている時間だ。
何で?国語の授業中に何処かに移動するようなことは無いだろうし、寝ている私を放っていくことも無いだろう。
念のため確認したが腕時計も壁掛けも同じ時間を示している。
どうなってんの、これ。まあいいか、とりあえず職員室に行けばどうすればいいか分かるだろう。私は寝たことで怒られるくらい怖くはないのだ。
そして全ての教室を巡り、誰もいないことが判明した。ここまでが私のあらすじだ。
世界と呼ぶには学校は小さいけれど、高校生である私にとって世界の六割は学校だ。世界の半分以上回って誰もいないのであれば、私は世界で一人になったといっても過言では無いはずだ。過言か。
とにかく私は残りの四割、通学路、お気に入りの店、我が家などを確認するために学校を出て行く。
胸を張って世界で一人になったと言うために。